

前回の横浜取材から、再び東京へ戻って参りました記者。
「今日は南大塚へ行けば良いのか」と呑気に社を出て最寄駅に向かったところ、南大塚駅は埼玉県にある事が発覚!!
あわてて「くにやクリニック」様に問い合わせたところ、受付の女性がとても親切に「豊島区南大塚はJR大塚駅をご利用下さい」と教えて下さった。
優しくホッと出来る対応に、くにやクリニックのアットホームな雰囲気が早くも想像できる。

記者:随分と長い間、日本の医療は西洋医学を中心として診療が進められていましたが、最近は漢方医療への注目度が、患者さんの間でも上がってきているようですね。今回、街の声でも「漢方治療を勧められ受診はしてみたいけど、本当に治療効果があるのかどうかが心配」など、受診してみたいけど謎のベールに包まれているという意見が多くありました。
小泉:漢方医療を受診する時に、まず皆さんがご心配されるのが、効き目が遅いのではないか?という事ですね。漢方はじんわりと長い間かかって効き目が出てくるという誤認識をされている方が多くいらっしゃいますが、風邪などの急性病に即効性があるのが、実は漢方薬なんですよ。また、併せて漢方には副作用が無いと認識されていらっしゃる方も多いようですが、残念ながら胃腸障害などの副作用があり、全く無いとは言い切れないのです。
記者:私自身も、しっかりと2大誤認識をしておりました。(笑) ところで、漢方薬に適した体質などは、あるのですか?
小泉:よく一口に体質と言いますが、正確に言えば、かかっている病気が、漢方医療に適しているかどうか?という事です。 漢方治療の効果が高いのが、鼻アレルギー、神経症、自律神失調症、むくみ、めまい、頻尿、過敏性腸症候群、頭痛、冷え性、肩こり、月経痛、口の中の違和感などがそうですね。また、病名がはっきりしないけれども体調が悪い場合にも漢方薬を処方します。
記者:なるほど、漢方治療を身体が受け入れやすいかどうかではなく、身体を蝕んでいる病が漢方を受け入れやすいかどうかが、問題なのですね。
小泉:漢方治療とは、トライ&エラーと言われています。患者さんの脈やお腹や舌を診察して、体調を考慮しつつ患者さんの現在の病状に適した漢方薬を処方するというやり方です。その人の持つ病気にどの治療薬が一番適しているのかを経験と勘で探り当てるのですから、漢方医は常に研究熱心な人間であるべきだと思っています。

記者:小泉先生は、かなり熱心に研究と治療を行っていらっしゃいますが、そもそも何をきっかけに、漢方医療の道に進まれたのですか?
小泉:北里研究所東洋医学総合研究所において1年間の研修をしたのが始まりです。その後も同研究所に入所し4年間の勤務を経て、さらに都立大塚病院にて東洋医学科に4年間勤務しました。
ただ、何と言っても漢方薬によって家族の病気を治療したところ、驚くような効果が認められたという経験が、開業するにあたり西洋医学に加えて漢方の治療も積極的に行っていこうと思ったきっかけですね。
記者:家族のご病気を通して、漢方医療の素晴らしさをあらためて感じられたわけですね。具体的には、どんな治療を行いどんな成果が出たのですか?
小泉:まず、母親の病気をきっかけに漢方に関わっていきました。その頃、母親の年齢は50代前半、突然右足の痛みを訴えるようになり、病院で検査をしたのですが、骨の一部が変形しているくらいで他に特に異常が見つからないのです。良くなったり悪くなったりと繰り返して半年ほど過ぎた頃に、高熱と全身に走る関節痛で苦しみ始め、動く事が出来なくなってしまったのです。解熱剤や坐薬、注射などで対応しても一時的におさまるだけで、改善されません。病名がわからないので、心配は募るばかり。
その時に、病名が分からない場合でも漢方ならば治療が出来る事を思い出したのです。診察をして、2日毎に薬の量を調整しつつ漢方薬を処方しました。そうしているうちに、熱も下がり関節痛もとれて、一週間でどうにか動ける状態になりました。その後、近くの病院で精密検査を受けたところ、関節リウマチである事が判明、経過を聞いた担当医師は、急激に熱が下がったのは、ステロイドホルモンが入っているのではないかと問い合わせてきましたが、漢方薬だけと伝えたところ、随分と驚かれていましたね。
記者:リウマチは本当に辛いご病気ですね。私なども、数年に1度、風邪で高熱を出す事がありますが、あの関節の痛みには耐え難いものがあります。全く動けなくなるという状態は察せますが、1週間で動けるようになったなんて、すごい効き目ですね。
小泉:ゆっくりとした効き目どころか、その病に適した処方が出来れば、即効性があることがこの話でも、お分りいただけるでしょう?また、父親の喘息の発作や、妻の喘息、また子供達の湿疹など、家族の健康を通しても、漢方は小回りが効く優れた医療だと実感しています。

記者:正直にお話して、漢方薬がこんなに重い病気を素早く治す力があるとは思ってもいませんでした。命に関わらない病気を気長に治すとか、長生きをする為に体調を整えるなどに適しているのかと考えていたのです。また、自費治療のイメージも高く、実際に私はかなりの高額で漢方薬を購入していた時期があります。
小泉:当クリニックでは、健康保険が適用される漢方薬で治療をおこなっています。確かに、患者さんの中には「漢方治療なので、いくら位かかるのでしょうか?」 と、治療費の心配をされる方もいらっしゃいますね。
記者:街の声でも、コスト面が一番心配という声はありました。中には1年間に数百万かけて漢方治療をしていらっしゃるという方もいましたよ。
健康保険内で処方して頂けるのでしたら、是非積極的に漢方も治療に取り入れてみたいです。さて、ここからは更に漢方の治療について知識を蓄えたいと思うのですが、漢方治療が、西洋医学と決定的に違う事はどんな点ですか?
小泉:この薬を処方したら大体このくらいの時期で治るだろうと予測できるのが西洋医学です。ところが、漢方はいつ治るという期間が特定できません。なぜならば、患者さん一人一人の身体の状態によって、良くなるまでの時間が違ってくるからです。また、漢方の基本は、まず自然治癒力を高めて、その病気を治癒するという考え方です。ですから、体力がある人は治癒する働きが強く治療効果も高いのですが、体力が衰えている場合は当然良くなるまでに時間がかかります。例を挙げますと「熱の出ない肺炎は危険だ」という言われています。
これは、病原菌の攻撃に対して、体が弱っている為に反応できず、熱が出ない状態になっているのです。ですから、見た目の症状は強くありませんが、体内では病原菌が無条件で暴れているために、死に直接結びつく危険な状態だと言えるのです。
逆に高い熱が出る状態は、体に抵抗力があるため、病原菌をやっつけるために発熱しています。ですから、前記の熱が出ない状態よりは安心できる状態と言えます。また、西洋医学の治療でも、病気に対する抵抗力が弱い人よりも、強い人の方が病気の治癒が早いのは勿論ですが、「自然治癒力を高める」漢方治療では、より一層その傾向が強く出ます。
風邪には、睡眠と栄養とよく言われるのも、体力を立て直すという意味からですね。普段からしっかりと栄養を摂り、体力や免疫力を高める事は大事な事です。また、皆さんお気づきかと思いますが、身近な食べ物の中にも漢方は結構使われています。沢庵の黄色、あれは昔「うこん」で染めていました。
また、漢方がふんだんに使われているお料理と言えば・・・・
記者:カレーですね!ターメリックやクミン、チョウジなど漢方薬に使われる材料を沢山ブレンドするんですよね?そう言えば、小泉院長は漢方を極めるうちに、カレー屋さんを開かれたと風の噂で伺いましたが・・
小泉:漢方に対する探究心とネパールを旅した時のカレーの美味しさが忘れられず、カレーレストランを開くという結果になりました。
記者:漢方のお医者様と一流のコックさんが素材の配分等を研究しつつ、お料理を提供して下さると、食通の間でも評判のようですね。私は公私含めてアジアへの旅を頻繁にするのですが、どの国も中国系の人が多いからなのか、人々の暮らしの中に漢方や薬膳の考えなどが、自然に浸透しているように思えるんです。日本でも、生ものを食べる時にワサビで毒消ししたりと、幾つか考えれば上げられるのですが、出勤の途中で漢方薬を一杯グビっと引っ掛けて、という習慣はありません。
小泉:そうですね、一つ一つ丁寧に考えてみれば、漢方が人々の生活の中に取り込まれている部分はあるのですが、当たり前のように目の前には存在はしませんね。漢方をもう少し身近に感じて欲しいという意味でも、カレーレストランを開いてみたんですよ。まだまだ、皆さんにとっては、漢方は身近な治療法では無いのかも知れませんが、何の病気かが分からない場合でも、人の身体とじっくりと向き合い、トライ&エラーを繰り返しながら、治療を行っていけるということをお分り頂けたら嬉しいですね。
記者:漢方について丁寧にお話いただいたおかげで、謎がすっかり解けました。機会がありましたら、漢方の治療も積極的に取り入れてみたいです。今日はありがとうございました。
小泉久仁弥院長プロフィール
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- 昭和大学和漢薬物学兼任講師。
- 日本東洋医学会指導医、専門医。
- 東京都身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)。
くにやクリニックHP
http://www.toshima.ne.jp/~kuniya/
ネパール&インド料理レストラン
サイディープHP
http://www.saideep.jp/
